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【観光地カフェの経営術】低予算開業から学ぶコスト管理・立地選びの極意

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阿蘇神社近くでコーヒースタンド「阿蘇宮地珈琲」を経営する三木田元毅さん。

飲食業未経験から低予算でカフェを開業し、観光地という立地を活かして順調に経営を続けている。

しかし、その道のりには「店名変更」という大きな決断があった。

今回は、カフェ経営の失敗談と成功のポイント、そして業界が抱える課題について率直に語っていただいた。

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阿蘇宮地珈琲─経営者プロフィールと店舗概要

「三木田元毅と申します。現在、カフェ経営と法人の営業支援、そしてバー経営の3つの事業を手がけています」

そう語る三木田さんが経営する「阿蘇宮地珈琲」は、熊本県の観光名所である阿蘇神社の近くに位置するコーヒースタンドだ。

阿蘇宮地珈琲の外観

店のメニューはドリップコーヒーがメイン。阿蘇神社を訪れる国内外の観光客が多いエリアで、訪れた人々がほっと一息つけるような空間を提供している。

コーヒースタンドという形式で、気軽に立ち寄れる店づくりを心がけているという。

阿蘇宮地珈琲のInstagramはこちら

開業までの道のり─低予算での立ち上げ

三木田さんのカフェ開業ヒストリーについて探っていく。

「資金は自己資金でまかないました。運が良いことに、いろんな人に協力いただきながら、すごく低い費用で始めることができたんです」

物件についても、自ら探したわけではなく、知り合い経由で紹介してもらったものだという。しかし、その物件を一目見たときに即決した理由があった。

「阿蘇神社の近くという立地、そして土日祝日には歩行者天国になるほど観光客が来られる。その点で即決しました」

飲食店経営は三木田さんにとって初めての挑戦だった。

「当時は全く無知でしたね。数字面についてはYouTubeを見ながら勉強したり、本当にやりながら経営について学んでいきました」

未経験からのスタート。それでも、立地の良さと周囲の協力、そして自ら学ぶ姿勢が、開業への道を切り開いていった。

店舗経営は順調─強いて失敗談があるとすれば?

「季節によってお客様が少ない時期もありますが、年間通して考えると、集客で問題を感じたことはほとんどありません。」

三木田さんは率直に語る。観光地の商店街という立地に恵まれ、集客面での苦労はほとんどなかったという。

しかし、順調に見える経営の中にも、振り返れば「失敗だった」と思える出来事があった。

それが、店名の変更である。

「実は、店名を一度変えているんです。今は『阿蘇宮地珈琲』という名前でやっていますが、もともとは『The 24 Club(トゥエンティフォークラブ)』という名前でした」

個人的にかっこいいと思った名前をつけたという三木田さん。しかし、開業から1年が経った頃、ある問題に気づいた。

「お店って、覚えてもらいやすさも大事じゃないですか。海外の人はわかりませんが、日本の方にとって英数字は覚えにくい。しかも、せっかく阿蘇という観光地なのに、店名に『阿蘇』も『コーヒー』も入っていなかったんです」

結局、1年間その名前で営業した後、現在の「阿蘇宮地珈琲」に変更。すると、リピーター客から「覚えやすくなったね」という声が聞かれるようになった。

「数字的に悪かったわけではないんですが、最初から同じ名前でやっていればもっと認知が広がったかもしれない。そこは何も考えずに始めてしまった失敗ですね」

店名という、ブランディングの根幹に関わる部分。三木田さんの経験は、開業前の準備段階でしっかりと考えるべき重要な要素であることを教えてくれる。

順調だった集客─観光地立地のメリットと課題

観光地という立地は、三木田さんにとって大きなアドバンテージとなった。

「立地は本当に重要だと実感しました。おかげで集客に関して困ったことは少ないです。」

しかし、順調な集客の裏側には別の課題があった。

「最初はドリンクメニューだけでやっていたので、すごく単価が低かったんです。もっと単価を上げる施策は最初から打てたのかなと思います」

客足は順調でも、単価の低さが収益性に影響する。この気づきは、三木田さんにとって今後の経営における重要な教訓となった。

店舗運営の苦労とトラブル

順調に見える経営でも、日々の運営には予期せぬトラブルがつきものだ。

「冷蔵庫や製氷機が壊れてしまったり、コーヒーの豆を挽く機械が壊れたこともありました。壊れると当日と翌日くらいは営業ができないので、これは飲食店全体のトラブルだと思いますが、そういったことはもちろんありました」

設備の故障は、飲食店経営における避けられないリスク。しかし、三木田さんはこうしたトラブルにも冷静に対応し、営業を続けてきた。

カフェ業界の課題─低単価と高固定費のジレンマ

カフェ業界における構造的な課題について、三木田さんはビジネス的な視点から語る。

「これはおそらく、ほとんどのカフェの方が感じていると思いますが、やっぱり単価が低いんです。単価が低い割に、家賃や人件費といった固定費が高い。だから常に集客をし続けないといけない。これがカフェ全体の難しさであり、課題だと思います」

さらに、近年のコーヒー豆の高騰も経営を圧迫する要因だ。

「原価は上がってきているので、正直コーヒーの単価を少しずつ上げていくしかないかなと思っています。ただ難しいのが、コーヒー一杯で700〜800円というイメージはないじゃないですか。500円、高くても550円くらいが一般的だと思うので、そこの価格の価値観も含めて難しさがありますね」

この課題に対する解決策として、三木田さんが考えているのは付加価値の提供だ。

「値段を上げていくか、もしくはコーヒーに合うスイーツなどでの単価アップを狙っていくのが一つかなと思っています」

決済システムの導入

観光地でのカフェ経営において、三木田さんが重視したのが決済の多様性だ。

「エアペイを使っています。いろんなカードやQR決済に対応しているという点で選びました。観光客が多い場所なので、その点でエアペイは良いと思います」

三木田さん自身、ほとんどの支払いをクレジットカードで行っているという。

「予約していくお店だと、クレカに対応しているかどうかも見ますし、食べ歩きできるところでクレカ払いやPayPayに対応していると嬉しいなと思うことがあります。お客さん目線で言うと、あった方が良いと思いますね」

自分自身がユーザーとしての視点を持つこと。それが、顧客満足度を高める経営判断につながっている。

今後のビジョン

三木田さんが目指すのは、観光客にとっての「憩いの場」だ。

「阿蘇神社という観光名所がすぐ近くにあるので、そこに向かって来られる国内外の観光客がすごく多いんです。そういった方たちが、私たちのコーヒーや今後出していく商品を通じて、おいしいねと言っていただけたり、ほっと一息ついて仲の良い方とゆったりおしゃべりできるような空間が提供できればと思っています」

観光地だからこそできる、地域に根ざしたカフェ経営。

三木田さんの言葉からは、ビジネスとしての成功だけでなく、人々の思い出に残る場所を作りたいという想いが伝わってくる。

これからカフェを開業する人へのアドバイス

最後に、これからカフェを開業したいと考えている人へのアドバイスを伺った。

「お店を出すといっても、きれいごとだけではビジネスにならないので、お金の管理がすごく大事だと思っています」

三木田さんが特に強調するのは、コスト管理の徹底だ。

「家賃と人件費のバランス、そういったコスト管理・コスト徹底は本当に大事です。もちろん味がおいしいというのは大前提なんですが、個人事業主、経営者である限りは、数字管理もすごく大事だと思います」

具体的な目安として、三木田さんは次のように語る。

「人件費はお店によって様々なので一概には言えませんが、家賃に関しては飲食店の場合、売上の10%以下で抑えるのが理想だと思います。そこを目安に選んでいくと良いのではないでしょうか」

味へのこだわりは当然として、それを持続可能なビジネスにするためには数字への意識が不可欠。

三木田さんの言葉には、現場で培われた実感がこもっている。

店舗経営を通じて得た学び

最後に、店舗経営を通じて得た人生における学びについて尋ねると、三木田さんの表情がほころんだ。

「コーヒー屋をやっているからこそ、日々いろんな方に来ていただいて、いろんな業種・業界の社長さんやフリーランスの方にお会いすることがあるんです」

そうした出会いが、三木田さんの人生を豊かにしてきたという。

「仲良くなって一緒にいろんなイベントをやったり、その人たちの話を聞いて、僕自身の人生もすごく豊かになったと思います。ちょっと学びの話とは遠ざかるかもしれませんが、人生が豊かになったという意味で、やっぱり開業してよかったなと思いますね」

カフェ経営は、単なるビジネスではない。人と人が出会い、つながる場所を作ること。三木田さんの言葉からは、そんな温かさが伝わってくる。

まとめ

三木田さんの経験から学べるのは、「完璧な開業」は存在しないということだ。

店名変更という大きな決断も、単価の低さという課題も、すべて試行錯誤の中で見えてきたもの。しかし、観光地という立地を活かし、コスト管理を徹底することで、着実に経営を続けている。

「きれいごとだけではビジネスにならない」という言葉には、現場で培った実感がこもっている。味へのこだわりと数字への意識、その両輪があってこそ、持続可能なカフェ経営が実現する。

これからカフェを開業する人にとって、三木田さんの率直な経験談は貴重な道標となるだろう。

失敗を恐れず、しかし数字にはシビアに。そして何より、人との出会いを大切にする。そんな姿勢が、阿蘇宮地珈琲の温かさを生み出している。

編集後記

今回のインタビューで印象的だったのは、三木田さんの「正直さ」だった。

多くの経営者インタビューでは、成功談が前面に出されることが多い。しかし三木田さんは、「集客に困ったことはない」と順調な部分を認めつつも、店名変更という失敗談や単価の低さという課題を率直に語ってくださった。

特に「きれいごとだけではビジネスにならない」という言葉は、これから開業を目指す人にとって、現実を見据えるための重要なメッセージだと感じた。

阿蘇神社という観光地の近くで、国内外から訪れる人々に安らぎの時間を提供する。そのビジョンの裏側には、コスト管理という地道な努力があることを忘れてはならない。

最後に語られた「人生が豊かになった」という言葉が、すべてを物語っている。カフェ経営は大変だが、それでも「開業してよかった」と心から思える。そんな三木田さんの姿勢に、学ぶべきことは多い。

これから店舗経営を考えている方には、ぜひ三木田さんの言葉を参考にしていただきたいです!
家賃10%以下という具体的な数字、コスト管理の重要性、そして何より、人との出会いを大切にする経営姿勢。これらはすべて、現場で培われた知恵だと思います。
阿蘇宮地珈琲のこれからの展開にも、引き続き注目していこうと思いました。

この記事を書いた人

後藤廉のアバター 後藤廉 合同会社GRADMIN 代表

学生時代にITパスポートを取得し、Webメディア運営をスタート。
記事作成やWebディレクションを中心とした3年の個人事業を経て、2023年に合同会社GRADMINを創業。
SEO対策やホームページ制作・記事作成・オウンドメディアの運用代行など、コンテンツマーケティングを使って企業のWeb集客を支援しています。自身が経営する阿蘇市のサウナ事業MIKI TAO SAUNAと熊本市で展開する飲食事業(バー)夜酒並木で実際にキャッシュレス決済端末を使用し、実体験を元に当コンテンツを作成しています。

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